特定の箇所にのみめっきを施す!部分めっきとは。
樹脂めっきは通常、全面にめっきを施すことが一般的ですが、意匠面以外の締結部や裏面にめっきが付着すると、嵌合箇所で異音や不具合が発生する可能性があります。
部分めっきは、これらの問題を解決するための一つの方法です。
樹脂めっきと言えば、一般的には全面にめっきを施すことが行われます。
全面めっきにより、本物の金属の美しい外観を得ることができます。
しかし、製品として意匠面だけでなく、裏面のボスや爪など相手物と嵌合する箇所にもめっきが付着することがあります。
意匠面以外にめっきが付着することで、通常の成形品とは異なる問題が発生することもあります。
このような問題に対処するための一つの方法が、部分めっきです。部分めっきでは、必要な部分にだけめっきを施します。
これにより、相手物との接触部分にめっきが付着することを防ぎ、問題を解決することができます。
樹脂めっきでおこるデメリット
樹脂めっきで発生する問題点(異音・嵌合部の精度・溶着トラブル)
〇異音
樹脂めっきと相手物を締結する際に、締結部までめっきが付くと走行時にキュッキュとした音が発生する場合があります。
このような異音の問題に対処するためには、フェルトなどを貼るなどして金属部分と樹脂部分が直接触れないようにすることがあります。
しかし、このような対策は追加工数や費用がかかります。
〇嵌合部分の精度
全面めっきの場合は嵌合部分にもめっきが付くため、狙った寸法よりも少し小さくなることがあります。
さらに、めっきは吊りかける場所によって膜厚が変わるため、成形品のように一定の寸法になることが難しいです。
〇溶着トラブル
めっき品と成形品を組み付ける際に溶着という方法で固定をする場合があります。
しかし、この際にめっきが付いていると、めっき品のボスを超音波溶着で溶かして相手物と固定する際にうまく溶けずに固定ができない場合があります。
部分めっきのメリット
部分めっきは上記のような問題点を解決するだけでなく、様々な利点があります。
まず、組み立て工数の削減が挙げられます。
部分的にめっきを施したい場合、通常はめっき品と他の部品を組み合わせる必要があります。
この場合、2つの部品を組み合わせるための工程が追加されますが、部分めっきの場合は1つの製品でめっきと素材を分けることができます。
そのため、組み立て工程を1つ削減することができます。
また、必要な部分にしかめっきをつけないため金属地金の節約にもつながります。
従来工程では
2色成形工程では
部分めっきの工法
〇 レジスト塗装
めっきを施したくない範囲に塗装を行う方法です。
スプレー塗装、ディッピング、筆塗りなどの方法があります。
この方法を用いることで、めっきを施したい箇所とそうでない箇所を区別することができます。
〇 キャップ
特定の形状に制限がありますが、めっきを施したくない箇所にキャップを取り付ける方法です。
この方法では、塗料の付着がないため、成形品のままの素地となります。
〇 2色成形
2色成形の技術を用いて、めっきが付く樹脂とめっきが付かない樹脂の2種類の樹脂を使用する方法です。
この方法は、レジスト塗装やキャップのような別工程を必要とせず、生産数が多い製品に向いています。
柿原工業の部分めっきの活用例
柿原工業では、3つの方法で部分めっきを実施しています。
それぞれの工法には特徴がありますが、柿原工業では2色成形の部分めっきをおすすめしています。
2色成形部分めっきの特長は以下の通りです。
〇 見切りラインのきれいな出方
レジスト塗装やキャップ方法と比較して、2色成形部分めっきでは見切りラインをきれいに出すことができます。
これにより、製品の外観に優れた仕上がりを実現できます。
〇 形状の自由度が高い
形状の制限が少ないため、より自由度の高い形状レイアウトが可能です。
特に、複雑な形状の部品にも対応できます。
〇 後工程の短縮
レジスト塗装・キャップは別工程を必要としますが2色成形部分めっきは成形工程を変更するだけで別工程の追加が不要です。
これにより、製品の生産効率を向上させることができます。
柿原工業の2色成形部分めっき品は、主に自動車関連の部品として使用されています。
例えば、エアコンの吹き出し口のパネルやコンソール周りの加飾など、様々な部品に採用されています。
また、2色成形部分めっきは環境にも優しい工法です。
詳細については、資料ダウンロードにて解説しています。