めっきとは?
めっきとは、金属や樹脂などの素材表面に薄い金属層を形成する表面処理技術で、耐食性や耐摩耗性の向上、さらには美しい装飾性を付与するために幅広く利用されています。
(詳しくはコラム「様々なシーンを彩る Kakiharaの加飾めっき」をご覧ください)
しかし、めっき加工された製品は使用される環境や用途によって求められる性能が異なるため、それぞれの製品が要求性能を満たしているかを確認することが重要です。
そのため、膜厚や密着性、耐食性など、多角的な観点から性能評価試験が行われます。

めっきの性能評価を行う上で確認するポイント
- Ⅰ)めっきの厚さ
- Ⅱ)温度変化
- Ⅲ)密着性
- Ⅳ)耐食性
- Ⅴ)外観
Ⅰ)めっきの厚さ
めっきの厚さは、めっき品の品質が決まる最大の要素になります。
膜厚規格についてはJIS規格やメーカーの規格を基にお客様と協議の上で取り決めをしており、めっき膜厚を測る方法として電解式膜厚計、蛍光X線膜厚計などの専用の機械で測定をしています。
電解式膜厚計は破壊式測定と言われ、薬品を用いてめっき皮膜を溶かし、溶かすために掛かった時間や消費電流から膜厚を算出します。
一方、蛍光X線膜厚計は非破壊式測定と言われ、材料の表面にX線を照射して、そこから放出される蛍光X線の強度を測定することで、膜厚を測定します。
柿原工業では、めっき膜厚が厚くて多層皮膜構造の樹脂めっきでは電解式膜厚計で測定を行い、比較的めっきの薄い金属めっきでは蛍光X線膜厚計を用いて膜厚測定を行っています。

電解式膜厚計
Ⅱ) 冷熱繰り返し性
冷熱繰り返し性は、材料や製品が急激な温度変化にどの程度耐えられるかを評価する試験になります。
試験方法は、冷熱繰り返し試験とヒートショック試験の2種類があり、お客様から頂いた要求事項によって、両方の試験が行えるように設備を整えて対応しています。
冷熱繰り返し試験は、試験機内の空気を高い温度(約80℃)~低い温度(約-30℃)へ交互に緩やかに変化させていき、熱による膨張と収縮を与えてフクレやクラック(割れ)の発生具合を確認する試験になります。
ヒートショック試験は、冷熱繰り返し試験と同様に熱による膨張と収縮を与えてフクレやクラック(割れ)の発生具合を確認する試験になりますが、温度変化を行う時間に違いがあります。
冷熱繰り返し試験は緩やかに温度変化をさせていくことに対して、ヒートショック試験は急激に温度変化させていきます。
急激な温度変化を与えることで熱による膨張と収縮が激しくなり、冷熱繰り返し試験よりも厳しい条件で評価を行うことが出来ます。
また用途適合性で試験の温度や時間が変わってきますので、お客様から頂いた要求事項にクリアできるようにそれぞれめっき条件や成形条件の調整を行っています。


冷熱繰り返し試験機
Ⅲ)密着性
密着性は、素地(金属や樹脂など)とめっき層の間、またはめっき層同士の接着の強さや結合状態を指します。
密着性が良好であることは、めっき層の剥がれを防止し、耐久性や機能性を維持するために非常に重要です。
(詳しくはコラム「樹脂めっきははがれません!その理由とは?」をご覧ください)
試験方法は、「テープ剥離試験」「クロスカットテスト」「引張試験」「曲げ試験」「ピーリング試験」など様々な評価方法があります。
樹脂めっきではピーリング試験、金属めっきではテープ剥離試験や曲げ試験といった試験方法で品質を確認しています。
まず、樹脂めっきで使用されているピーリング試験の方法は、一定幅の帯状に切れ込みを入れためっき皮膜の切れ端をピール試験機にセットし、機械が一定の速度でめっき皮膜を垂直に引っ張っていきます。
この時の引き剥がしに要した力の数値を測定し、この数値がめっきの密着度を表します。

ピール試験機
次に、金属めっきで使用されているテープ剥離試験は、めっき面に粘着性のあるテープを貼り付け、このテープを急速にかつ強く引きはがすことでめっきの密着性を調べる試験方法になります。
曲げ試験は、その名の通り試料を一定の半径や角度で折り曲げて、めっき層にひび割れや剥離が発生しないかを評価する試験方法になります。
Ⅲ)耐食性
耐食性は、めっきされた金属表面が腐食(錆)に対してどれだけ抵抗力を持つかを示す性能試験になります。
試験方法は、中性塩水噴霧試験とキャス試験の2種類があり、それぞれ専用の試験機を使用して品質の確認をしています。
中性塩水噴霧試験は中性の塩化ナトリウム溶液(pH6.5)を噴霧して耐食性を確認し、キャス試験は酢酸酸性の塩化ナトリウム溶液に塩化第二銅(Ⅱ)二水和物を添加した溶液(pH3.0)を噴霧して耐食性を確認します。
中性塩水噴霧試験とキャス試験は、どちらも意図的に腐食を促進させて短い時間で評価ができるように決められた試験になりますが、それぞれの試験で噴霧する液体の成分が違うため、用途適合性で試験機を使い分けるようになります。
試験としてはpHが高い溶液を使用しているキャス試験の方が中性塩水噴霧試験よりも厳しい試験にあたり、腐食促進試験として効果的で、短い試験時間で評価を行うことができます。
耐食性試験は、ニッケル―クロム系めっき製品の評価やプラスチック上へのめっき、塗装・表面処理の耐久性、アルミニウムなどの金属に対する耐食性試験に有効です。
キャス試験機 塩水噴霧試験機
Ⅳ)外観
外観は、お客様に納品するため見た目の美しさは大切になります。
外観の検査は熟練の検査員の目視検査によって、めっき品の全数検査を行い、品質を確認しています。
また当社では近年、外観自動検査装置を導入し、検査の自動化に向けた開発を行っています。

検査の様子
まとめ
めっきの性能評価は分野や用途ごとに様々ですが、一般的に膜厚、温度変化、密着性、耐食性、外観検査の5項目が行われています。
めっきの性能を正確に評価することはその品質管理や用途適合性、機能性の確認において非常に重要になります。
お客様の使用用途に応じて様々な評価方法を組み合わせることで、めっき層の厚さ、密着性、耐食性などを多角的な観点から判断でき、信頼性の高い製品開発に貢献します。
また今回のコラムでは5項目の性能試験についてご紹介しましたが、柿原工業では5項目の性能試験以外にも温水冷水繰り返し試験や耐水性試験(浸水試験)などが出来る試験設備を整えています。
めっきの性能試験についてお困り事がありましたら、お気軽にお問い合わせください。








