クロストーク1/海外戦略

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Kakiharaのグローバル戦略の要
Siam Kakihara Co., Ltd.とは?

急速に発展するASEANの中でも、日本の自動車メーカー・部品メーカーが集中して生産拠点を構えるタイ。 自動車産業のハブとしての機能が高まるタイに、 “満を持して”進出したKakiharaのグローバル戦略について、 タイ工場の立ち上げを任されたプロジェクト・メンバーの二人が語ります。

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(右)

常務取締役

柿原 卓矢

「インフラ整備や品質の高さという観点からもタイが候補に。さらに、お客様から現地生産の強い要望があったことも理由のひとつと語る。

(左)

Siam Kakihara 社長

水田 雅陽

日本人以上に職場での和を重んじるのがタイ人。親睦を深めるための旅行などの機会を設け、ファミリー的な人間関係づくりにも力を注ぐ。

成長するASEAN市場の中心に

海外市場を取り込むべくタイへ。どんな形態でどこに進出すべきか?

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柿原海外進出を検討し始めたのは2011年。キャパ的に新たな製造ラインの必要性が増していたという背景があって、投資するなら海外へという戦略からですね。自動車業界では「地産地消」が進行していたこともあって、私たちにとっては、“庭先が広がった”という感覚です。

水田海外への工場進出は、国内製造業の「空洞化」と言われることもありますが、そうじゃなくて、国内もキープしつつ、海外も含めて「ネットワーク化」という構造に変化してきている。それに対応するということです。ASEANは市場拡大が見込まれていますし、タイはその中心に位置していて、日本からの距離も近い。

柿原タイには、すでに多くの自動車部品メーカーが出ていて、樹脂めっきの会社も何社か出ていましたが、自動車のドアハンドルに使われる素材へのめっきができる会社はありませんでした。耐久性の面で非常に難しく、同業他社は参入できない。競合が少ないということも、タイに進出を決めた大きな理由です。

水田タイに決まってから、2012年にプロジェクトのGOが掛かり、それを牽引する任を拝命することになった時には、本当に身が引き締まる思いでした。「遂に来たか!」という感じで興奮を覚える一方、良い意味で絶対に失敗させる訳にはいかないという重圧も圧し掛かりました。

柿原合弁にするか独資にするか、タイのどこに工場を作ればいいのか、情報を集めて検討すべき重要事項が山ほどありました。人集めに苦労しない場所であるとか、ちょうどアユタヤで洪水が起きた頃だったので、自然災害の少ない場所だとか。水田さんと二人で毎月タイに出張していましたね。

水田最終的に、進出形態は独資に。場所は、タイ投資委員会の恩典、ロケーション、土地購入のタイミング、周囲の環境等々、総合的に判断しゲートウェイシティ工業団地に決定したんですけど、候補地視察のために一日何百キロも車に揺られて移動したことが、今となっては良い思い出です。

工場完成から半年で量産を開始

工場建設も量産開始も、異例のスピードで実現できた理由とは?

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柿原2013年5月にサイアム・カキハラを設立し、そこから基礎工事が始まって、工場が完成したのが2014年4月。タイでは平気で3カ月くらい工期が遅れると言いますから、1年弱で工場が完成できたというのは奇跡的なこと。水田さんが月半分はタイに張り付きで、ゼネコンとの折衝をしてくれたお陰です。

水田工場のカラーリングから、トイレの便器の形に至るまで、ありとあらゆる物を決めていきました。また、思いの外、大き過ぎたり、小さ過ぎたりと、建設図面と現実のギャップに驚かされることも多かったですね。工事手順が前後し、設備が入らなくなって、作った壁を壊したことも二度程ありました。

柿原日本では考えられないことが、次々と起こりましたよね。

水田ですから、無事完成して工場を見上げた時は、正に感無量でした。本社の設備のサポートメンバーとも、「俺ら、よくやったよね!」と、お互いの労をねぎらいながら杯を酌み交わしたことを今更ながらに思い出します。

柿原工場が完成して、その5カ月後の9月には量産を開始できたのも異例の早さだったと思います。タイの監査は日本よりも厳しいですから。手順書などの必要な書類だけでもかなりの厚みで、日本品質で運用して合格するにはいろいろと大変だったのではないですか。

水田お客様との取引を開始するあたり、監査は避けては通れない道です。結果から見ればスムーズだったのかも知れませんが、最初に仕事を発注してくださったお客様の支援なくしては、短期間での量産開始は成し得なかったと思っています。そのお客様にタイでのものづくりや管理システムについて丁寧にご指導いただいたことで、無事にそのお客様の監査が合格し、量産開始に漕ぎ付けることができた訳です。

柿原現地スタッフへの教育や指導もあってこその合格ですよね。

水田いえいえ、私がしたことと言えば、スタッフを鼓舞したことくらいです。

グローバルサプライヤーへの道

日本とタイ、Kakiharaがこれから目指すグローバル戦略とは?

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柿原タイ工場は、2016年に自動車産業の国際的な品質マネジメント規格であるISO/TS16949を取得しました。欧米の自動車メーカーとの取引条件にもなっている厳しい規格で、グローバルなサプライチェーンに参入するには必要不可欠。最新鋭のハイテク設備を備えたタイ工場で作る製品は、日本よりも品質は高いんです。

水田タイ工場は、ASEANに対する輸出拠点になっています。そのため、世界的なEVへのシフトを背景に、高度成長しているタイ、インドネシアとの取り引きが大変好調です。現在、工場の稼働率は75%程度ですが、年内には100%の完全稼動を目指したいですね。

柿原すでに3年先まで引き合いが来ているので、まだ半分残っている敷地に第2工場の建設も予定しています。プラチナサテンめっきなどを移管していくには、色の安定性がテーマになってくるので、運用する技能を高めて、より難しいめっきにもチャレンジしていきたいですね。

水田私はタイ工場の育成に加え、海外業務室も任されていますから、今後はさらにKakiharaのグローバル戦略を推進していきたいと思います。第一段階として、日本のお客様の現地法人に直接製品をお納めできる体制を整えてきたので、現在はどの国へでも直接輸出することが可能になっています。

柿原日本とタイから直接、北中南米やASEANに送る体制ができたので、今後は海外の部品メーカーとの取引も強化していくことができると考えています。そうした海外サプライヤーを足がかりに、グローバルサプライヤーへと成長していくことが、私たちが未来に描くKakiharaの姿です。

水田タイムリーに納品する体制を確立し、さらに現地駐在事務所を設置して、海外のお客様に対して営業活動を行い、きめ細かいサービスを提供できるグローバルサプライヤーへ。その夢を実現するためにも、まずは足元のタイ工場がフル稼働し、利益を計上できるように育てていきたいですね。

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