クロストーク3/技術・社風


2色成形部分めっきラインが稼働!
めっき前提の樹脂成形の難しさとは?
樹脂成形で追求するテーマは、軽量化、強度アップ、コストダウン、より美しい仕上がりなど様々。さらに、めっきを前提とする樹脂成形は難度が高く、蓄積した技術力は技術者たちのチャレンジ精神の賜物です。Kakiharaの技術力、その技術が育まれる社風について、試作担当の二人が語ります。
樹脂成形で追求するテーマは、軽量化、強度アップ、コストダウン、より美しい仕上がりなど様々。さらに、めっきを前提とする樹脂成形は難度が高く、蓄積した技術力は技術者たちのチャレンジ精神の賜物です。Kakiharaの技術力、その技術が育まれる社風について、試作担当の二人が語ります。
(右)
樹脂製造部成形課
刑部 貞良
成形課で16年以上のキャリアを持つベテラン技術者。やりがいを感じるのは、成形工程での不良の原因がわかった時。
(左)
樹脂製造部成形課
谷中 正宏
上司の刑部と同じ試作担当。新製品の成形品の品質安定化を目指している。目標は、成形不良率の低減と設備知識の向上。
谷中樹脂成形の原料は粒状のペレットなんですけど、素材原料を溶かして何もないところから金型に射出すると、車のハンドルなどの部品のカタチになるというところが樹脂成形の面白いところだと思います。
刑部その時に使うガスアシスト射出成形技術というのが、Kakiharaの樹脂成形技術の特徴で、これはあまり他社さんではやっていない技術です。金型内に射出した樹脂に、窒素ガスを注入することで空洞化し体積を減らして軽量化したり、内圧を上げて表面を綺麗にしたり。コストダウンにもつながる技術です。
谷中ものによっては、ウェルド成形で高い技術を使っていますよね。
刑部ウェルドというのは、金型に樹脂を注入していく時にできる樹脂が合流する部分のことで…
谷中有効面から見えないように、ウェルドを上手く調整するところに技術がある。
刑部そう! それに樹脂の流し方や条件は、会社によっても人によっても違って、同じような樹脂の製品を作っていても、他社さんが見たら「Kakiharaはこんな条件でやるんだ」というところはあると思う。
谷中めっきを前提とした成形だから、めっきの不具合が成形段階で起こることもあって、流れの速さや条件の出し方によって違いが出ます。
刑部だから、条件の出し方は、成形するだけの会社とは全然違う。めっきの下地という意味もあるので、後工程を考えてやるところに違いがある。
谷中成形してみて目ではわからなくても、めっきしてみたら不具合が出たということもありますよね。
刑部営業から話が来たら、まず金型を作って何度か試作を繰り返して、量産前の試作段階で不良が出る条件は潰しておくけど、試作段階で出なかった不良が、量産に移って2、3日経って出ることもあるからね。量産のことも考えながら条件を出していく。そこが私たち技術者の腕の問われるところです。
谷中これからの時代は、2色成形ですね。
刑部違う樹脂同士を射出して一つの製品にするという、Kakiharaにとっては新しい成形技術へのアプローチです。例えば、めっきをのせる上の有効面はABS樹脂、下の樹脂はポリカーボネート。金型を回転させながら射出する技術で、これも他社さんではあまりされていないと思います。2016年11月から新たに量産体制に入りましたが、2色成形の専用機械を10カ月前に導入してから、ずっと試作を繰り返してきました。
谷中2色成形は、違う原料同士を組み合わせる成形になるので、密着性の検討などに時間を費やしました。隙間ができると、そこにめっき液が入って、めっきがのってはいけないところにものってしまいますから、そこが大変でした。
刑部金型制作にもノウハウがなくて、営業担当と上司と一緒に、金型メーカーさんに勉強に行くところから始めたので、無事にスタートできてひと安心です。
谷中この技術を使った製品は、車のインパネや小物になるんですよね。今までは2つの部品を組み立てて作っていたものが、組立工程がなくなるということですね。
刑部部品が上手く組み立てられていれば問題ないんですけど、そうじゃないと振動で異音が出ることがある。今は音に対して皆さん敏感なので、2色成形にすると部品が一体化しているので“異音が出ない”ということが一番のメリットですね。
谷中刑部さんは金型のことも詳しくて、モノを3Dで見ることができるところが凄い。私も早くイメージできるようになりたいです。
刑部金型もそうだけど、試作だけじゃなくて製品を掴むロボットの手も自作しています。自分で簡単な図面を書きながらあれこれ考えて。既製品の部品をいろいろ組み合わせて、傷がつかないように掴めたら「やった!」って。
谷中そういうところにも挑戦したいですけど、自分はまだまだです。試作に移ってからまだ1年で、ついていくのに今は精一杯。それでも、射出の条件出しをやらせてもらっていて、スピード、圧力、どこでスピードを切り替えるか、形状を考えてやっていくところが面白いです。早く樹脂を入れないと形にならないので、難しさはありますが。
刑部この1年で、谷中君はずいぶん成長していると思うよ。
刑部Kakiharaでは、失敗しても個人的にそんなに責められません。「失敗しても次に生かせばいい」というのは、社長もよく言っています。
谷中これ、この場で言ってもいいですか。アタッチメントを落としてしまったことがあるんです。ロボットを操作する制御盤なんですけど、何十万円もするものなんです。試作中に、置いたつもりがしっかりと置けてなくて。買い換えてもらったんですけど、ちょっと怒られたくらいで済みました。もう次は失敗できません!
刑部実は…やってしまいました、2回目。
谷中えーっ!
刑部私も落としてしまって、ヘコみました…。
谷中でも、刑部さんは、お昼ご飯を食べたら元気になりますよね。
刑部「ま、しょうがないか!」ってね。最近は大きな失敗はないですよ。
谷中刑部さんは元気で、なんでも話せて相談しやすい上司です。一緒に遊んだりすることは絶対にないんですけど(笑)。仕事でこのまま量産に回していいのか、正直迷うことがあります。そんな時は、刑部さんに相談するとアドバイスをくれるので、頼り甲斐があります。刑部さんは、ストレスを感じているとは思うんですけど。
刑部Kakiharaは、先輩たちが優しいのが特徴ですね。成形の仕事は、初めは暑いし単調に感じるかもしれないけど、次第に慣れるので。一緒に頑張っていきましょう。
谷中研修中にいろいろな部署を回りましたけど、配属が成形だったらいいなと思っていました。工場が本社からちょっと離れたところにあるし、性格にも合いそうだと。
刑部第2工場には、金型課と成形課しかいないので、確かに集中して仕事ができる環境がありますね。それじゃあ最後に、それぞれ目標を言って締めましょうか。私は「早く走る!」です。福山マラソンに出ることが目標です。
谷中私は、金型の形状のことが早くわかるようになって、レガシーのある仕事がしたいです。次の工程に何の心配もなくつながるように、そして技術を受け継いでいきたいと思います。早く走りたいという目標はないです(笑)。